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ピアノのちょっといい話 ~ ベーゼンドルファー ~

松風ギャラリーの2階ホールの扉を開けると、真っ先に目にとびこんでくるのは、正面で静かに存在感をはなっているピアノ。黒いカバーを解くと、こっくりとした深いつやのあるブラウン。これが世界に知られた名器、オーストリアのピアノメーカー、ベーゼンドルファーのピアノです。ベーゼンドルファーは手作業で作られているため、他のメーカーに比べて生産台数が極端に少なく、現在までに生産されたピアノは世界中で45,000台ほどで、これは国内主流メーカー生産台数の100分の1です。それで、日本国内でベーゼンドルファーを見かける確率が低いのです。

ベーゼンドルファーのピアノは1828年の創業以来、各国の皇室や王室の御用達として選定されたり、産業博覧会で入賞するなど、名声の誉れ高いピアノです。また、超絶技巧曲で有名な作曲家であり優れた演奏家でもあったフランツ・リストの激しい演奏に耐え抜いたことでも有名です。リストがウィーンでリサイタルを催した時、その超絶技巧にどのメーカーのピアノも狂って演奏不能になってしまうなか、ベーゼンドルファーだけはリサイタル終了後も、少しも狂っていませんでした。リストはこのピアノを絶賛し、このことがベーゼンドルファーの名声をいっそう高めることになったのです。

さて、このベーゼンドルファー、いったいどのような音色を私たちに聞かせてくれるのでしょうか?ベーゼンドルファーのフルコンサートグランドピアノは標準の88鍵よりも多い97鍵の鍵盤(エクステンドベース)をもつピアノとしても有名です。(松風ギャラリーのピアノは92鍵盤のモデルです。)これは、イタリアのピアニスト兼作曲家であったブゾーニのリクエストによるもので、バッハのオルガン曲を編曲した際、標準のピアノでは出せない低音部を出せるようにと改良されたからです。そのため、響板が広がり、共鳴する弦が増えたことによって、特に中低音の響きが豊かになりました。

「ピアノ全体を鳴らす」(正面からだけでなく包むように音が響く。)
「比類なきピアニッシモ」(小さな小さなピアノのささやき声のピアニッシモ。耳を澄ませて聞いてください。)
「ウインナートーン」(ベーゼンドルファー生まれ故郷、ウィーンの音色と表現される音です。決して派手ではありませんが、しっとりと心に問いかけてくるような音色です。)
ベーゼンドルファーに与えられた数々の賛辞、ぜひご自身の耳でお確かめください。

さいごにもうひとつだけ。ぜひ機会があればこのピアノの鍵盤をご覧ください。黒い「白鍵」があることにお気づきでしょうか?これは、通常の曲の演奏時に誤って叩かないように、追加されたエクステンドの鍵を区別するために黒く塗っているためです。

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